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第13回 「天ぷらは、実はポルトガル語が語源」
毎日、出発前の点検が終わり、廃食油を満タンにした荷物満載バスコファイブ
毎日、出発前の点検が終わり、廃食油を満タンにした荷物満載バスコファイブ

アメリカから船に乗せて送った車両は6月初めにヨーロッパ最西端の国、ポルトガルで無事受取ることができました。使い古した天ぷら油を燃料にするこのバイオディーゼルカーは、行く先々で廃食油を集める必要があります。そのため各国のレストランにも沢山寄ることになり、自ずとその土地の食文化に触れます。おかげでその土地の歴史や人を知る入り口としてとても良いきっかけになります。まずはヨーロッパで最初の国、ポルトガルとスペインを紹介します。

ヨーロッパへ旅行に行くという日本人で、ポルトガルをすぐ選ぶ人は少ないかもしれません。飛行機も直行便がないし、言葉もなじみが薄いから他のヨーロッパ諸国にくらべると旅行者は少ないように思います。しかし、実はポルトガルは遠くて近い国。日本が鎖国中もポルトガルとはつながりが深かったため、知らないうちに日本人はポルトガルから多くの影響を受けています。例えば、「天ぷら」は、室町時代にポルトガル人が日本に伝えたもの。キリスト教の天上の日(鳥獣の肉が禁じられ、魚の揚げ物を食べる精進の日)「クアトロ・テンプラシ」に魚の揚げ物を食べていたポルトガル人を見て、日本人も油で揚げるということを始めたのだといいます。

ちなみに「天ぷら」という言葉はポルトガル語のテンペイラという味をつけるという意味の言葉が語源。だから「天ぷら油」で地球一周している僕らにとって、非常に意味深い場所がヨーロッパのスタート地になったのもなにかの縁なのでしょう。

スペインのマラガという町は、コスタ・デル・ソルの海岸沿いにあり、海岸にはシーフードの店「チリンギート」がひしめきあい、シーフードのフリッターで有名な地方です。レストランに入ると揚げ物料理を皿ごと手に持って、ウエイターが大きな声を張り上げて料理の名前を言いながら、お客のテーブルの間をまわります。次から次へとできたての料理が目の前を通り過ぎるので、美味しそうに見えてつい食べ過ぎてしまいます。食後に「廃食油を集めているのだけど」と店のヒトに相談すると、確かに店の裏には沢山の廃食油があり油は事欠きませんでした。「コスタ・デル・ソルのカリウエラに行けば、嫌でもたくさん油が集まるよ」という言葉は本当でした。

こちらの食習慣で面白いと思った事の一つに、朝会社に出勤するとまず、社内のキッチンに集まり、何か食べてから仕事が始まることです。さらに昼は午後1時半から4時くらいまで。家に帰って食べるひとも多く、「シエスタ」という習慣が今も根強いので、昼間はまったく連絡がつかないことがありました。彼らの食習慣を知らないで電話連絡をしようとすると1日棒に振ってしまう事にもなりかねません。

夕方は会社に戻り一仕事して、帰りがけにバルという居酒屋のカウンターみたいなところで、時間をかけ酒を飲みながらつまみを食べて、夕飯は午後8時過ぎか9時頃からやっと始まります。午後7時からレストランに行ってもまだどこも開いていません。実際こっちにいると午後9時でも外は明るいので夕方のように錯覚してしまい1日を長く感じ、彼らにとって食事をすること、家族や友人達と過ごすということが基本にあって、その上で仕事をするというのが常識なんでしょうね。日本やアメリカ時間に慣れていた僕は、「あ〜、ここは南ヨーロッパだった。」と実感することになりました。ゆったりと生きる事の大切さを学ぶ、良い機会となりました。

(続く)

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