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第25回 「旅先で出会ったバイオの未来」
熊本県で有機農業を営むAさんはトラクターにバイオディーゼル燃料を入れて米作りをしている。

熊本県で有機農業を営むAさんはトラクターにバイオディーゼル燃料を入れて米作りをしている。

現在、僕はバイオディーゼル燃料を作りながら日本一周中だ。昨年だけで一万人を超える方々とお会いし、講演などでお話をさせて頂いた。学校の生徒さん、バイオディーゼル燃料を使って循環型社会を築こうと試みる市や町の人々、生活に必要なエネルギーを自分で作り出す人、はたまた木を植えて歩く人……と、出会う人々の職業や年齢も実に様々だった。そんな皆さんとお話して感じたのは、身近な自然環境と共存して生活や暮らしを良くして行こう、地球環境を考え自分のできることから行動していこうという強い意識だった。今回は「バイオディーゼル燃料」についてお話したいと思う。地域ではバイオディーゼル燃料がどのように利用されて、どんな人の手によって作られているのか?そもそもバイオディーゼル燃料とはどんなものなのか?

今日も僕はせっせと、いらなくなった天ぷら油を集めて、燃料作りに精を出す。クリナップのweb読者ならご存知のように自分が旅する車の燃料を、自分の車の中で、自分の手で作っているのだ。普通、車の燃料はガソリンスタンドで買うものだが、現在のところ6万5千キロほど走っているが、一度もガソリンスタンドによっていないのだ。ガソリン=石油を使わず、捨てる天ぷら油から燃料を作る。その精製機を車の後に積み、燃料を作りながら旅をしている。2007年12月から始めた世界一周も、そんなふうに「使い古した油を捨てるなら是非下さい!」と各国を回り、燃料を作り続けて360日で達成することができた。そして、現在は日本一周の旅路にいる。

家庭の生ゴミからバイオガスを作ってキッチンの煮炊きに利用しているお宅もあった。

家庭の生ゴミからバイオガスを作ってキッチンの煮炊きに利用しているお宅もあった。

その燃料の名前は、「バイオディーゼル燃料(以下BDF)」という。普通の燃料と大きく何が違うかというと、いずれ枯渇する石油=化石燃料と違って循環型であるということ、石油よりも毒性が少ないということ。そしてBDFは、使用しても総体的な二酸化炭素量が増えない。なぜなら、原料の植物が、成長するときに二酸化炭素を取り入れるため、車に使って排出する二酸化炭素の量は”プラスマイナス0”ということになるからだ。化石燃料は燃えると二酸化炭素を出すだけで、使うほど二酸化炭素が地球の大気上に増えていくことになる上、枯渇してしまう。BDFの場合、燃料の元になる植物を植えれば、繰り返し燃料を使うことができる循環型燃料と言えるのだ。

そんなBDFに熱心に取り組む地域が日本各地にあった。例えば、九州を旅していると、自ら試行錯誤しながらBDFを作っている人達に出会った。熊本県で有機農業を営むAさんは無農薬で米を育てており、使用するトラクターの燃料にBDFを使っている。BDFを使う理由は三点あるという。一点目は、せっかく無農薬で米を育てているのにトラクターで作業する際、毒性のある黒煙を畑にまき散らしながら走りたくないということ。二点目は、二酸化炭素を増やさないので環境にやさしいということ。三点目は、燃料は町で集めた廃食油のため費用が安く済むうえ、個人でも試みができるということだ。無農薬で美味しい作物を作る過程にもできるだけこだわりたいというのだ。

輸送会社の中には地球温暖化を抑制するためにバイオディーゼル燃料をトラックに入れて走らせるところも増えきた。

輸送会社の中には地球温暖化を抑制するためにバイオディーゼル燃料をトラックに入れて走らせるところも増えきた。

また、トラック運送業の社長Jさんは、トラックを30台持っており毎日フル稼働で九州全土に車を走らせている。Jさんは運送という仕事から二酸化炭素をまき散らして走っているので、少しでも環境に考慮できないかと考えていたところ、BDFと出会った。そしてなんと自分の会社にBDFを作る工場まで作ってしまったのだ。BDFを作るプラントを導入して専属のスタッフをおき、試行錯誤を繰り返しながら質の良いバイオディーゼル燃料作りに精を出した。現在までに5台のエンジンを壊したが、諦めなかった。今では全車両の半分がBDFで動いている。さらには、荷物を運んだ後、空荷になったトラックに取引先で集めてもらった廃食油を積んだり、食用油を製造する会社から余った油を分けていただくなど、燃料作りだけでなく、油集めにも独自のアイディアを盛り込んでいた。

そんなBDFが使えるディーゼルエンジンは、日本人の一般家庭にはまだ馴染みが薄いのが現状だ。黒煙が出るなど、あまりいいイメージをもっていない方も多いかもしれない。日本では一般乗用車にはあまり使われていないが、ヨーロッパでは、およそ7割がディーゼルエンジン車だ。ディーゼルエンジンは燃費もよく、寿命が長く、また技術が進歩したおかげで最高速もガソリンエンジン車よりも速い。現在のディーゼルエンジンは、とてもクリーンなものなのだ。また、政府でBDFなどのバイオマスエネルギー使用を推進しているので、町のガソリンスタンドでバイオディーゼル燃料が手軽に得られて、価格も石油燃料よりも安く設定されているのだ。

あるお宅ではバイオディーゼル燃料を作るプラントを自作したり、電気やガスも自給自足していた。

あるお宅ではバイオディーゼル燃料を作るプラントを自作したり、電気やガスも自給自足していた。

BDFは循環型のエコ燃料だ。しかしながらBDFはあくまでも選択肢の一つであると僕は思っている。その場所や土地にあったエネルギーの利用方法はそれぞれ違うはず。電気自動車や水素燃料車、車に限らず風や水、地熱などその土地で循環できるエネルギーを作り出すことが重要なのだと思う。BDFを集めて自分で燃料を作りながら旅をして、僕は地球の未来がとても心配になった。そして強く思ったのは、人を変えることは簡単でないけれど、自分ができるところから、やれるところから一歩一歩始めてみようということだ。

では、実際に廃食油をどこにもっていけばいいのか。回収してリサイクルを行う日本各地の市町村も増えてきたので、まずは住んでいる街を調べてみよう。市町村だけでなく、NPOなどの団体もあるし、廃食油からせっけんを作るという団体もある。そして僕の車でも、廃食油を集めている。もしも街中で、日本一周中の僕のクルマ「バスコ5」を見かけたら気軽に声をかけて欲しい。
あなたの今日の献立は何だろうか?もし、 あなたのキッチンから捨てる油が出るなら、油を捨てずにリサイクルすることから、身近なバイオの未来に踏み出してみてはいかがだろうか?

廃食油をリサイクルするには

あなたの地域では分別ゴミとして使用済み油を回収しているでしょうか?もし、自宅で使った食用油をリサイクルしたい、賞味期限切れの油が貯まっているがどこに持って行けばいいのかわからないといった方は、私のオフィシャルwebサイトのリンク集に日本各地の市町村や組織、団体などのリンクもあるので参考にしていただけたらと思います。

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