ぬりものもキッチンも本物だけを選んで  大切に長く付き合っていきたい。

日本の道具は基本的に直しながら使うものですよね。特にぬりものは修理できるものとしてよく知られています。傷がついたり、壊れたり、古くなってしまっても、たいていは新品同様に戻すことができます。だから多少高額であっても、長く使おうと大切にしていく。例えば江戸時代の家具膳は、慶事や法事に使われるお膳とお椀のセットですが、これをワンセット、つまり20人分をすべてそろえると家が1軒建つくらいの費用がかかるんです。でもこれを何代も引き継いで使ってきた。天然素材ですから、使い込むほどにより艶が出て美しさが際立っていく。それが少し前までの日本人のものとの付き合い方だったんですね。
ところが現代は大量生産、大量消費の時代です。低価格のものを使い捨てにするという生活をしている人が多いのかもしれない。でもせっかく出会って選んだいいものは、大切に使い続けたいと思います。ぬりものも家具もキッチンも、じっくり選んで手に入れたものを、ていねいに大切にしながら長い時間をともに過ごしていく。そこから新しい生き方や暮らし方が始まるはずだと思っています。

人が手仕事の高価なものにもお金を払うのは、暮らしをより豊かに変える、そのきっかけを求めているから。

ぬりものは、木地、下地、上塗りという三要素でできています。木地の傷に漆を詰めて全体を磨き、生漆を全体に塗ってまた磨き、布を着せたり、漆と土を混ぜて塗ったり、それをさらに研いだり……と、上塗りに至るまでにもさまざまな工程があります。実際の作業のほかにも、工程のつど、乾かしたり寝かせたりするためにも時間がかかります。なぜ高価かというと、それだけ手間と時間がかかっているからなんですね。 もちろん、本物の素材を使って、ちゃんとした技術で作っているのは当然のこと。でも今はそれだけでは価格の理由として認められない。では何に人はお金を払うのかというと、おそらく暮らしをより豊かにするものを求めているのだと思います。 「クラフツマンワークトップ」のように、職人の手仕事でしかできないものは高額になってしまいますよね。それでも、手仕事を取り入れるほどの上質なキッチンを手に入れることで、“料理をしよう”、“もっと暮らしを楽しもう”という気持ちになって、暮らしが変わるかもしれない。そう期待できることが、大切だと思いますね。

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