鉄器に学ぶ。くらしの工芸に学ぶ Vol.3 鉄器 及源

160年前から暮らしに寄り添う日用品にこだわって 五感に響くもの作りを心がけてきました。

鉄器の産地、岩手県の奥州市と盛岡市。どちらの鉄器も“南部鉄器”と呼ばれていますが実はルーツが異なります。盛岡市の鉄器は江戸時代に盛岡藩主南部氏が京都の釜師を招いた事に始まり、歴代藩主の庇護のもとに茶器などを製造してきた、いわば献上品。対して私たち「及源」のある奥州市の鉄器は、平安後期に、平泉の王であった奥州藤原氏が近江の国から鋳物職人を呼び寄せたのが始まりと言われています。当時、奥州市は平泉文化を支える文化的な役目を持っていたようです。また、北上山地や河川から粘土、砂鉄、木炭、砂という上質の材料が手に入り、運搬できる水運の便もよかったため、鋳物業が栄えて根づき、農具や鍋といった庶民的で実質的な日用品を作る鋳物産地として今に至っています。
及源も、江戸時代末の創業以来、鉄瓶や鉄鍋など主に日用品を作っています。使いやすさにこだわることはもちろん、気持ちのいいデザインや肌触り、遊び心といった“五感”に響く商品作りをしていきたいと、日々研究を重ねています。機能だけでもルックスだけでもない、暮らしを支える究極のキッチンを追求しているS.S.には、私たちの姿勢と似たところを感じます。S.S.はまさに五感に響くキッチンですよね。

鉄が本来持っている“すごい力”を最大限に引き出す そのチャレンジの成果が 私たちの鉄器と「ステンレスキャビネット」ですね。

鉄器の魅力はなんといっても、鉄という素材。鉄器は重いし、こまめな手入れも必要ですが、長く使いこむことでより使いやすくなり、本来の力を発揮します。世の中で、焦げ付かないコーティングをした鍋が流行っても、私たちがあくまで鉄にこだわって作り続けてきたのは、本物の良さを知っているから。
鉄の魅力を最大限に引き出したのが、わが社のイチオシである「上等鍋」シリーズです。南部鉄瓶には、炉内で鉄器を熱し防錆のための“酸化皮膜”を作る伝統的な技法が伝わっていましたが、職人のカンに頼らざるをえない非常に高度な技術でした。そんな職人技を、岩手大学の八代教授の指導のもと科学的な視点で見直し、安定した技術として鍋に応用したのが上等鍋シリーズです。流行の海外製鍋のように、錆び防止の塗装や、表面コーティングもないので、鉄からダイレクトに高い熱が伝わります。プロのシェフがびっくりするほど焼きあがりがおいしくなるんですよ。伝統的な職人技をヒントに新しいアイデアを加えた、革新的なシリーズだと自負しています。
ステンレスも鉄を合金化することで酸化皮膜ができ錆びに強く、酸化皮膜に傷がついても自然に再生すると聞きました。そんなステンレスをS.S.はワークトップやシンクの排水口だけでなくキャビネット(キッチンの骨組み)にまで使っている。木製キャビネットが主流のなか、ここまでステンレス仕様のキッチンなら、湿気の多い日本には最適ですよね。酸化皮膜を絶妙にコントロールしてステンレスそのものに色をつけているというステンレス扉やステンレスフェイスガスコンロも技術的に興味深いですね。職人気質な企業だからこその商品だな、と思いました。また、ステンレスは鉄と同様リサイクルできる素材。S.S.はリサイクルしやすいように分解できる構造になっているそうですね。これからの時代に必要な配慮を感じます。

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