
クリナップが子どもたちの想いとアイデアに向き合う
~未来キッチンイラストコンテスト 審査レポート~
2回目の開催となった「未来キッチンイラストコンテスト」。
昨年度を上回る3,641作品が全国の小学生から寄せられました。
今回より加わった「未来アイデア賞」「ハートウォーム賞」。
子どもたちの未来をみつめる斬新な視点や、
おうちの方、そして地球の未来を想いやる優しさに、
応えたいという想いから新設された特別賞です。
時にアツく、時に楽しみながら、
大人たちが1つ1つの作品と真剣に向き合う姿をご覧ください。
結果発表
未来キッチンイラストコンテストへのご応募、誠にありがとうございました。2回目となる今回は昨年度を上回る3,641通のご応募がありました。
ご協力いただきました先生方、保護者の皆様には、深く御礼申し上げます。
今回より、未来をみつめる斬新な視点を評価する「未来アイデア賞」、作品からあふれる家族や地球に対する思いやりを評価する「ハートウォーム賞」を新設しました。
厳正なる審査の結果、以下の通り各賞を決定いたしましたので、ここに発表いたします。

最優秀賞1名

千葉県流山市立
おおたかの森小学校
6年 永井 秀弥 さん

このカタツムリ型のキッチンは、ゴミを食べて食品を作ってくれたり、エネルギーを作ってくれて、そのエネルギーを利用して料理をします。魚や貝、かいそうを育てて、栄養がほうふな水を利用して、野菜を作ったり、その野菜で牛やとりから牛乳や卵をもらいます。超鮮度の良い取れたての材料で、必要な分だけ作るので、食べ残したりしないですみます。おいしい材料で作るので、皆も元気になります。カタツムリ型のキッチンと食器なので、カラの特性をいかして、汚れがつきにくいです。ゆっくり動いて、どこにでも行って、料理が出来ます。

「残さず、楽しく食べられる」をテーマに描きました。学校の給食が残ることが気になっていたからです。カタツムリは、カラを自分で再生することを思いだし、ゆっくり移動しながら作って食べられ、ゴミなどを再生できるキッチンをひらめきました。たんぱく質など栄養があるものを届けに、森や山に行きたいです。世界中が、おなかをすかせることなく、笑顔で食べられる未来をつくりたいです。

アイデアを細密に具体化した、わかりやすく丁寧に描かれた作品。キッチンで働く人やごはんを食べている人の表情、動物たちや野菜の様子、キッチンの工程、背景の雲に至るまで、一つひとつが細かく丁寧に描かれています。全体の構図も素晴らしく、穀物、魚や貝、肉、野菜が作られる過程と食事が結びつく循環をカタツムリ型キッチンという形で表現しています。循環をベースにした独自のSDGs視点もありますね。
未来
アイデア賞1名

茨城県牛久市立中根小学校
1年 樋󠄀口 ゆり葉 さん
(れいぞうこぴー)は、りょうりのえやしゃしんのこぴーをとると、れいぞうこのなかのしょくざいをつかって、りょうりをつくってくれるきかいです。たいようのひかりでうごくので、でんきがないばしょでもつかえます。しょくざいをむだにしないでつくります。(れいぞうこぴー)でせかいのみんながおいしいごはんをおなかいっぱいたべられるようになってほしいとおもいました。
ハート
ウォーム賞1名

和歌山県美浜町立松原小学校
2年 宮本 泰地 さん
ぼくの父さんは、しごとのかえりがおそいので、一人でよるごはんを食べています。休みの日、家ぞくで食じをすると「みんなで食べるほうがおいしいな」とよろこんでいました。いま一人で食じをする、こ食の人がふえているそうです。「こ食がへったらいいな」と思ったので、このキッチンをかきました。いどうができるキッチンで、大がたバスの大きさです。やねの上にはスピーカーがついています。スピーカーでよびかけて、きた人みんなで食じをします。「みんながたのしく食じができたらいいな」と思います。
優秀賞各部門6名
総計18名
※五十音順
低学年部門

中学年部門
高学年部門

学校団体賞全国から
5校・団体

秋田県秋田市立
河辺小学校
受賞校からのコメント
かわべっこは、家庭との協働の下、身近な題材について、今を切り拓き、快適な未来にしようという思いをもちました。そして、親の困り感や環境問題の解決法、創造力豊かな発想を作品に表現しました。受賞に感謝申し上げます。

静岡県静岡市立
清水袖師小学校
受賞校からのコメント
袖師小の子どもたちが考えた“未来のキッチン”は、おいしい料理だけでなく、温かな会話や笑顔、アイデア、思いやりの心も生み出します。“未来のキッチン”を想い描く機会と素敵な賞をいただき、大変光栄に思います。

大阪府和泉市立
青葉はつが野小学校
受賞校からのコメント
学校団体賞をいただき感謝いたします。今回のコンテストで、子どもたちのSDGsへの思いと未来の創造をつなげていただきたくさんのことを考え、学ばせていただきました。素敵な機会をありがとうございました。

大阪府大阪市立
波除小学校
受賞校からのコメント
子どもたちがわくわくしながら作品作りに取り組んでいた姿が目に浮かんできます。身近なテーマを題材に自分の考えを表現できるこのコンテストは、本校の子どもたちにたいへん有意義なものであり、自信や成功体験になる「学校賞」の受賞をとてもうれしく思います。ありがとうございます。

和歌山県智辯学園
和歌山小学校
受賞校からのコメント
この度、学校団体賞をいただきまして、誠にありがとうございました。子どもたちが日頃からお世話になっているキッチンの未来像を各自がイメージして、様々な発想が出てきました。それらを使っている未来を想像するとわくわくしてきます。貴重な機会を与えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。



クリナップが子どもたちと一緒に取り組み考えたいこと
~「キッチン」から、未来やSDGsについて考える~
クリナップがキッチンを通してどんな未来をつくることができるかを
子どもたちと一緒に真剣に考える場として
そして、子どもたちが自由な発想でイラストを描く場として
「未来キッチン学習会」を実施しました。ぜひご覧ください。
審査員講評

審査員長


武蔵野美術大学 ソーシャルクリエイティブ研究所 特別研究員・
Xデザイン研究所共同創業者
Smile Experience Design Studio代表
山﨑 和彦
Kazuhiko Yamazaki
今年はどんな作品が出てくるのだろうかと楽しみにしておりました。前回もそうでしたが、どの作品からも子どもたちが学校や家庭で、環境問題やSDGsのことをよく学んでいることがわかります。その上で、家族や身の回りのことにも目を向け、思いやりの気持ちから発想をふくらませ、未来のことを考えてくれていると感じさせられました。大人には考えられない構図の絵なども多く、子どもたち一人ひとりの発想の柔軟さに学ばなくてはならないと改めて感じました。
【プロフィール】
1955年神奈川県生まれ。京都工芸繊維大学卒業、神戸芸術工科大学大学院博士(芸術工学)号取得、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程単位取得満期退学。千葉工業大学デザイン科学科教授を経て現職。経産省デザイン思考活用推進委員会座長等を歴任。
長年にわたり、住宅設備機器・家具などを中心に「長く飽きずに使えるデザイン」をめざして、企業に所属し各種商品企画とプロダクトデザインを担当。現在はプロダクトデザインの社会普及や後進の育成に力を注ぐ傍ら、「これからの働き方・生活の仕方のデザイン」「社会をよくするためのデザインのコミュニティ」の推進等広く活躍。
審査員

絵本作家・児童書作家
あんびる やすこ
Yasuko Ambiru
社会の様々な未解決問題。子どもたちはそれをまっすぐな瞳で見つめて、公正な心で感じたことを「未来キッチン」の絵にしてくれました。家族が困っていたり、寂しそうだと気づいたこと。海のゴミがウミガメを苦しめていると知ったこと。そして、それをどういう方法で解決しようかと子どもたちが考えたとき、その想像の翼は「家族」や「ウミガメ」を飛び越えて、全ての生物、地球、宇宙にまで広がっていく。どの作品も「思いやり」という発想で輝き、眩しいばかり。未来キッチンを通して、社会が今なすべきことを示していると感じました。
【プロフィール】
群馬県生まれ。東海大学日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。その後、おもちゃの企画デザインに携わり、絵本・児童文学の創作活動に入る。主な作品に『なんでも魔女商会』シリーズ、『ルルとララ』シリーズ(いずれも岩崎書店)、『魔法の庭ものがたり』シリーズ(ポプラ社)、『ムーンヒルズ魔法宝石店』シリーズ(講談社)、『こじまのもり』シリーズ(ひさかたチャイルド)などがある。
現在、一般社団法人日本美術著作権連合理事長、一般社団法人日本児童出版美術家連盟監事。

白百合女子大学 教授・上智大学 名誉教授
平尾 桂子
Keiko Hirao
今回も応募作品からたくさん刺激をいただきました。昨年に増して環境問題への感度が上がっていることと、新しい技術を柔軟に取り入れようとしていることに驚かされます。イラストに描かれる物語は、まるでコンピューターグラフィックスを見ているようで、子どもたちが三次元を超えた世界に生きていることを教えてくれました。そして何よりも、作品一つ一つの中に、お子さんを大切に育てているご家族の姿が見えて、とても幸せな気持ちになりました。
【プロフィール】 上智大学大学院国際関係論専攻修了(国際学修士)、University of Notre Dame社会学博士修了(社会学Ph.D.)。2023年から現職。専門は社会学。家族と社会がサステナブルであるためには何が必要かを考えることが研究テーマ。ジェンダーと環境、気候変動に関するメディア分析、環境問題としての人口問題、異世代間関係などに取り組んでいる。

料理研究家
行長 万里
Mari Yukinaga
今回も優れた作品が多くあり、ワクワクしました。子どもたちにとって、キッチンが家庭の中心であり、楽しくてワクワクする場所だということを感じることができました。家族のことを思いやる優しい気持ちだけでなく、環境のことも一生懸命に考え、いろんな問題を解決できる「未来のキッチン」を作ろうとする子どもたち。その作品を目の当たりにして、大きな可能性を感じました。近い将来、人間でなくロボットが料理する時代がくるのかと少し危惧しています(笑)。
【プロフィール】 女子栄養短期大学卒業。料理学校の助手を務めた後、フリーで活動開始。料理教室講師等を経験し、知識や理論以外の実践派の料理の腕を磨く。TV番組、雑誌、CMにフードコーディネーターとして活躍。食品ロス講演、料理教室を全国で展開中。

クリナップ株式会社 常務執行役員 開発担当
藤原 亨
Toru Fujiwara
前回を上回る大変多くのご応募をいただき、誠にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。新しい発想の作品がこのようにたくさん登場することに驚かされました。昨年の受賞作品をご覧になってから応募されるということは、2回目の難しさもあるのではないかと、という心配事は杞憂に終わりました。発想というものは経験や年齢に関係がないものだと改めて感じ、今回も子どもたちから教わることにあふれた審査となりました。
【プロフィール】 1989年クリナップ入社。キッチン、バス、洗面化粧台等のデザインならびに商品開発に従事。2021年より現職。