未来キッチンラボ

未来キッチンラボが取り組む重要なテーマ
「共にごはんを食べる」は社会の基盤
2019年、クリナップと武蔵野美術大学の産学共同プロジェクト「未来キッチンラボ」がスタートしました。
プロジェクトの議論の中で、これからはキッチンを通して社会を笑顔にしていく価値提供が重要になるのだということに気が付きました。
- 「共にごはんを食べる」
- 「共にこどもを育てる」
日常的に家族や友人と集まって食べるという「いつものとき」はもちろんのこと、災害時のような「もしものとき」の非常時も。その両方を社会の笑顔の中で考えていくことが大事なのだというところに行き着きました。
その意味では、キッチンの可能性が高まっていき、色々な場所で料理ができてご飯が食べられるという「未来キッチンラボ」が取り組んでいるテーマは、大変重要です。
「未来キッチンラボ」の研究や実験の成果がこれから世に羽ばたき、広く地域社会に貢献できることを目指します。

所長 若杉 浩一
2022年11月 千葉県館山市地域活性・災害支援を
目指した実証実験
地域社会におけるコミュニケーションの場を移動式キッチンで手軽につくることで、日常時は地域の活性化に、非常時はライフライン支援になることを目指しています。
2022年11月に千葉県館山市で実施した社会実験では、自動車メーカー関連企業の協力も受け実際に車で運んだプロトタイプのキッチンで調理を行いました。循環ろ過装置による水の使用や、車からの電源供給などを自治体の方々と検証し、実用化に向けた課題を整理しました。


実用化に向け
キッチンを大幅に
小型化
館山での実証実験の結果、設備から切り離された状態での調理は思いのほか快適であり、大きな可能性を感じるものとなりました。
しかし、装置は大きく、移動や設置に大変な労力がかかるため、次段階にすすむためには大幅な小型化が必要になりました。そこで、フィルターを制作している三美製作所様と協力させていただき、装置の小型化に取り組み完成したのがボックスタイプ、スタンドタイプの2つの実験モデルです。


ボックスタイプ
手軽に持ち運べ、屋外での使用をイメージしやすいクーラーボックスサイズ。タンク、ポンプ、濾過フィルター、シンクを収めました。テーブル等の上に置いて使用することを想定し、高さを300㎜程度に抑えています。女性一人でも持ち運べるサイズ感と重量です。


スタンドタイプ
地面に直接置いて使う自立型のタイプ。スタンドタイプは、ボックスタイプの構成にさらにもう1つ濾過フィルターを追加し、2つのフィルターが互いに洗浄しあう「逆洗浄機能」を搭載。本体内部でフィルターが自動洗浄されることにより、災害時などでも独立して長期間稼働することができるよう設計しています。



2023年12月ろ過式キッチンの
実証実験
ボックスタイプ、スタンドタイプを、実際に野外に持ち出して実証実験を行いました。
ホンダアクセス様にご協力いただき、車輌に実際に積み込み、積み下ろしと、設営、調理という一連の動作に関する検証を行いました。
車両での
運搬と積み下ろし
車両への積載も問題なく、積み下ろしも容易で、ボックスタイプはこのように女性一人でも持つことができるサイズ感と重量に収まっています。


キッチンとして
問題のない使用感
野外で一通り調理作業を行い、結果としてアウトドアシーンでの全く問題のない使用感を確認することができました。自由に使える水があることで、通常のキッチンと同じような感覚になり、 ろ過装置の可能性感じると共に、キッチンの在り方を大きく変える要素になると考え、次世代キッチンへの展開を考えました。


2025年1月中学校で
防災イベント!
循環ろ過装置を体験
東京・練馬区豊玉地区で行われた「中学生と学ぶ防災訓練」で、
「未来キッチンプロジェクト」が発表した「モビリティキッチン」のプロトタイプと循環ろ過装置を提供しました。
当日は、地域住民約150名と練馬区立豊玉中学校の生徒約40名が参加。
災害が起きたとき、中学生が中心になって避難所を運営することを想定した訓練が行われました。

実演展示で関心続々! モビリティキッチンが描く未来の暮らし
「子どもたちが“もしも”の時を未来視点で考えるきっかけにしたい」というご要望を受け、クリナップが考える未来の暮らし方を紹介。もしもの時だけでなく、いつもの時にも使えるモビリティキッチンが生み出す新たな生活シーンを説明し、地域住民の方々から驚きと共感の声をいただきました。
実演を交えた実物展示には、多くの方が興味を持ち、「災害時に役立ちそう」「新しいライフスタイルを予感させる」といった声が寄せられ、中でも、水を繰り返し使えるシンクユニットが注目を集め、災害時はもちろん、日常生活でも活用できる次世代キッチンの必要性を改めて感じました。

中学生による炊き出し訓練で、ろ過ユニットを活用した手洗いを実証

防災イベントで行われた炊き出し訓練では、循環ろ過装置が「作業開始前の手洗い」「作業中の手洗い」「作業後の手洗い」といった想定されたシーンごとに活用され、災害時には様々な場面で手洗いの必要があることを再確認することができました。
「食の未来予測とキッチンの可能性」研究概要
イノベーション溢れる未来の食生活と、
限りないキッチンの可能性

横田 爵巳さん(右)
2024年3月に開催された「未来キッチンプロジェクト」産学共同発表会では、
次世代デザイナーによる未来の食生活研究として、
武蔵野美術大学 ソーシャルクリエイティブ研究所 山﨑特別研究員と共に、
武蔵野美術大学在学生の田村 義希さん、横田 爵巳さんが「食の未来予測とキッチンの可能性」について発表しました。
インタビューを通して家庭により全く異なる食事事情が存在することを踏まえ、50個程度の食事のパターンをリストアップ。
30年間に及ぶ未来の“ライフスタイルシナリオ”を120パターン作成。
食事パターンごとのキッチンと共に実現する、新しい未来のライフスタイルを語りました。
ライフスタイルの変化を
キッチンと共に研究
産学のプロジェクトでは、クリナップと武蔵野美術大学が、ライフスタイルとキッチンの未来にどんな可能性があるかということをリサーチしています。ライフスタイルの多様な変化によるキッチンの新しい可能性を探り、家族の生活の仕方や食事のパターンと共に研究を続けていきたいと思います。
