Home > 山田周生のグローバル・ジャーニー > 第1回
山田周生のグローバル・ジャーニー
山田周生のグローバル・ジャーニーTOP
山田周生のグローバル・ジャーニー
前回のページへBACK
次回のページへNEXT
第1回 「アメリカ・インディアンと旅した20日間」
地球環境のバランスが崩れつつある昨今、自然と共生することを太古の昔から学び、そして実践してきたネイティブ・アメリカン達。第1回目はこの7月に彼らとアメリカ国内を20日間にわたって旅をしてきた話。
第1回 「アメリカ・インディアンと旅した20日間」1

2005年7月9日、僕はアメリカのミネソタ州北部のレッドレイクからその旅に合流した。5台の車に分乗して約25名がこの旅に参加。ほとんど初めて会う人ばかりだった。
オブジ系、スー系、アパッチ系であるアメリカン・インディアン達と一緒に聖地パイプストーンでのパイプセレモニーを経て、サウスダコタ、ワイオミング、コロラド、ニューメキシコ州などの聖地や歴史的な場所を巡り鎮魂と平和を祈り、聖なる儀式サンダンスへと向かう旅だ。
車での移動は毎日500km以上にものぼり、ある時は夜間走行になるというハードなときもあった。しかし、彼らと訪れる場所は歴史的にも意味のあるところばかりで、出発前はどんな旅なのか知らないまま参加を決めたのだが、自分にとってこの旅がだんだん重要なものに思えてきた。
特にサウスダコタ州のウンデットニーでは、1890年、アメリカ・インディアンにとってアメリカ政府との最後の闘いとなった場所、そしてその83年後、アメリカ・インディアンが人権を求めて再び立ち上がった意味深い場所。その歴史的場所にその当時の正に中心人物であった張本人たちと鎮魂のセレモニーに参加することは感慨深いものがあった。


あるインディアンの家に泊めてもらったとき、夜遅く到着した我々をその家の老夫婦は手厚くもてなしてくれ、ありったけの食事をご馳走してくれた。そして、突然やってきた我々に彼らのベットを使わせてくれたのだ。僕はきっと他の部屋にもベッドがあるのだろうとその夜は寝たのだが、実は彼らは家の外にある小さなトレーラーの中で寒さの中布団にくるまり寝ていたことが翌朝わかった。
昔アフリカをバイクで旅をしていたときに訪れた村のことを思い出した。その村人達にここで寝なさいと土壁の小屋をあてがわれたのだが翌朝外に出てみるとその小屋の住人は外の土の上でなにもかけずに寝ていた。彼らの人や自然に対するやさしさを身をもって感じた。
この旅で初めてあったアメリカ・インディアン達が僕のことを兄弟と呼び友人に紹介してくれる。
人間は地球(マザーアース)の子供であり、動物や草木など生きとし生けるもの全てが兄弟であり家族なのだと考えていることを知れば当然のことなのかもしれない。だから彼らには自分のものと他人のものとの境界線があまりないようだ。
例えば彼らの家に行くと、子供が沢山住んでいて誰がその家の子供なのかまったく区別がつかない。子供は大人にとって共有の財産としてみんなで育てるという暗黙の了解があるのだろう。
そのあたりも世界各地の先住民などにみられる共通の社会システムのようだ。そういえば日本も昔そうだったのではないだろうか。人の子でも間違ったことをすれば注意し、しかるという姿があったはずだ。

旅に同行した一人の長老は、木は生命のシンボルなのだと言った。
人間は木が作り出す酸素を吸い、
そして二酸化炭素を吐く、
それを木がまた取り込み再び酸素を作り出してくれる、
この循環で人間は生きていられる。
だから我々は木に祈りを捧げるのです。
そしてその木は母なる大地に根を張り支えられ、
そして栄養をもらって生きている。
母なる大地は地球上のすべての生き物を支え、
そして支えられてもいる。
すべての存在が互いに助け合い、
バランスを取り合っているのだと。

その木を奉る儀式、サンダンスでは、サンダンサーの胸にあけられたピアスと円の中央に立てられたサンダンスツリーを結ぶロープは母なる大地と繋がる「へその緒」を意味する。サンダンスは、ダンサー達が飲まず食わずで4日間踊りその「へその緒」を切ったときに新しい人生が始まるという再生の儀式でもある。サンダンサーは自分の身を犠牲にしても、自分だけのために祈るのでなく、すべての生き物のために祈るという。彼らにとって儀式や祈りは生活の一部であり、なくてはならないものだということがわかってきた。

アメリカン・インディアンは老人を敬い、先祖やグレートスピリッツのメッセージを大事にする。また自然環境については7世代先の子供達のことを考え、子孫のために良い状態を残せるよう自然との共存、共生する方法を受け継いでいる。人間はマザーアースの子供であり、生きとし生けるもの全てが家族であることを自覚することで、どう生きていったらいいのかというヒントを現代人に投げかけているように思える。

サンダンスとは

サンダンス・セレモニーは毎年7月の満月の週に行われ、現在、サウスダコタ州を中心にラコタ・スー系を始めとして20以上の部族において、100以上のセレモニーが毎年夏場に開催される。セレモニー・グランドの真ん中に生命のシンボルの木(サンダンス・ツリー)を立て、4日間飲まず食わずで、日の出から日没まで炎天下大勢の男女が踊る。男のダンサーは胸にピアスを刺して生命の木に繋がれ、その身の一部を引きちぎる事により自然界を司るグレート・スピリット(創造主)に身を捧げて生まれ変わり、そして全ての生き物のために祈るというもの。

BACK 山田周生のグローバル・ジャーニーTOP NEXT
page top