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第5回 「パリダカールラリーはBDFの実験場 〜キッチンからエコロジーその2〜」
環境に優しいバイオディーゼル燃料を使ってどこまで走り続けられるだろうかと始まったバイオディーゼル・チャレンジ。思わぬきっかけからアフリカのサハラ砂漠を舞台に走るラリー「ユーロミルホー・ダカール2007」(通称パリダカ)にBDFを使って選手として出場することになった。
広大な西サハラの砂漠を快調に疾走するバイオディーゼル・チャレンジ号
広大な西サハラの砂漠を快調に疾走するバイオディーゼル・チャレンジ号

「バイオディーゼル燃料を使ってパリダカ初挑戦」
昨年、春から夏にかけて100%のバイオディーゼル燃料を使用して日本縦断を行った後、BDFのヨーロッパ事情を調査するために再びランクルを使ってBDFを探しながら10カ国、約2万キロを走り地球一周のための事前調査を終えた。ちょうどそのころパリダカに毎年出場している名門チーム、「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー」(以後TLC)から次回のダカールラリーにドライバーとして出場しないかという誘いがあった。30回以上のサハラ縦断経験を買っていただいたのだと思うがドライバーとしてのレース経験はないだけにその話をお引き受けするかどうか迷った。しかし、BDFを使って参戦が可能になり、ついにレースにエントリーすることを決意した。パリダカは今年で29回目の開催となるがその歴史上、BDFを使ってレースに参戦するのは史上初のこととなる。

今回僕が所属したチームランドクルーザー・トヨタオートボデーというチームのビバーク地の様子。夜は選手もメカニックもそれぞれテントで寝る。
今回僕が所属したチームランドクルーザー・トヨタオートボデーというチームのビバーク地の様子。夜は選手もメカニックもそれぞれテントで寝る。

レースに出場するカテゴリーは色々分かれているのだが大まかに言えばレース用にエンジンからボデイまで自由に改造できるクラスと、街で売っている市販車をベースにしたクラスに分かれる。今回僕は市販車をベースにした無改造部門のディーゼルクラスに出場する。BDFのテストとしては市販車をベースにしたこのクラスがBDFの実験としては都合がいいのだ。
さっそくBDFのテストを兼ねてレースカーに慣れるために北アフリカのモロッコでトレーニンング、そして11月にはアラブ首長国連邦(UAE)で行われるラリーワールドカップの「UAEデザートチャレンジ」に出場し最終仕上げを行った。実践でのBDFテストは思ったよりも良くダカールより難易度の高い砂丘のステージでも、まったく問題は発生せず、ディーゼルエンジンならではの低・中速のトルクが発揮されることがわかりパリダカでの期待がつのる。


今回パリダカで使用した燃料は、ヨーロッパ製の菜種油を原料としたBDFを20%の割合で軽油に混入したもので、通常B20と呼ばれるタイプ。ダカールでは、2台のカミオン(サポートトラック)でBDFを輸送し、アフリカ現地で手に入れる軽油とミックスして使用することにした。エンジンや駆動系は無改造クラスなのでもちろんノーマル。唯一プレフィルターを追加して不純物の混入を防止している。結果的にはなんの問題も起きず、UAEラリーの時と同様、ランクルらしい走破性の高さを発揮してくれた。ドライビングしてみて軽油との体感的な変化は感じられなかったが、2号車と比較するとトップスピードが5〜7%ダウン。燃費も2号車が3.2km/L。僕の3号車が2.9km/Lとやや落ちるデータとなったが、ドライビングの癖にも左右されるし、また3号車のほうが常時50リットルほど多く燃料を積載していたことも影響しているはずなので、一概には劣っているとは言えない。ラリー後半に左側面を立ち木にぶつかるトラブルがあったが、メカニカルトラブル、燃料に由来するトラブルもゼロ。

地球温暖化抑止対策としてB20を入れた380リットルの燃料タンクとドアにケナフという植物を使ったバイオプラスチックボード
地球温暖化抑止対策としてB20を入れた380リットルの燃料タンクとドアにケナフという植物を使ったバイオプラスチックボード

また、今回新しい試みとしてランクルのボデイの一部にバイオプラスチックを使用した。これはケナフを素材にしたボードだ。ケナフは一年草で、半年で高さ3〜4mに成長し、空気中の二酸化炭素の吸収力が、熱帯雨林の3倍、杉の7倍もあり、空気中の二酸化炭素を固定化することで空気中の二酸化炭素を削減する効果がある。さらに水中の窒素やリンの吸収力も高く水質浄化にも有効だ。また強度は従来の樹脂とはかわらずさらに軽量化の面でも優れた素材ということもあり、これも環境への配慮として一つの方向性を示す実験として行った。結果は壊れること無く機能を果たし、今後実用価値のあるものとして実証することができた。

結果は16日間でサハラ砂漠を約8000km走りきりバイオディーゼル燃料を使って史上初の完走、総合でも40位となり市販車無改造クラスのディーゼル部門では3位という成績でゴールすることができた。これでBDFが十分に車の燃料として信頼性があり、パワーもあることを確認することができた。またB20で走ることは16%の二酸化炭素削減に匹敵するとも言われ、バイオプラスチックともども地球温暖化の抑制に一石を投じる新しい素材であることを実証できたと思う。今後、BDFの普及と、車メーカーがバイオプラスチックを新車の素材に多く使用することが、地球温暖化抑止の一つの有効な方法となるだろう。

毎晩ビバーク(キャンプ地)では主催者が配給するケータリングによって暖かくて立派な食事が食べられる
毎晩ビバーク(キャンプ地)では主催者が配給するケータリングによって暖かくて立派な食事が食べられる

次回からは、車に搭載できる廃天ぷら油からBDFを作る超小型プラントを製作中だ。今後は世界各地で廃天ぷら油を集めBDFを精製しながら地球一周するというプロジェクトに取りかかる。ぜひ、これからも応援よろしくお願いいたします。

2007ダカールラリーとは

ダカール2007はリスボンのジェロニモス修道院前に設けられたスタート地点から大会期間16日間(2007年1月6日〜2月21日)、6カ国を通過し総走行距離は7915km(競技区間(SS)は4309km)をかけて争われた。 サハラ砂漠を縦断し世界最長の過酷なレースとして知られゴール地点はアフリカ・セネガルの首都ダカール。参加台数はバイクが240台、四輪185台、トラック85台の計510台が参加した。

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ユーロミルホー

ダカールラリーのメインスポンサー名。

B20

BDFと軽油の割合でBDFが100%のものをB100といい、BDFが20%、軽油が80%のものをB20という。

トルク

車のエンジン性能で出力を表す。

プレフイルター

市販車には燃料フィルターというもがついているが、さらにその燃料フィルターの前にもう一つ追加したフィルターのこと。

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