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SUSTAINABILITY

サステナビリティ活動

Message

社会や暮らしに 製品の先にある新しい価値を創造していきます

変わらない価値観と、未来を見据えた視点

2026年4月、社長執行役員に就任しました。大きな重責を感じていると同時に、「若い感覚で新しい方向性をつくってほしい」とのメッセージを受け取り、その期待に応えるべく新たな一歩を踏み出していく所存です。
社長就任にあたり、改めて自分自身の強みとして活かすべきと感じているのが、開発部門で培ってきた視点です。開発は、数年先の暮らしや市場環境を想定しながら、今何をやるべきかを考えます。そのため、未来を起点に考える“バックキャスト型”の感覚が身についています。その開発部門での経験が一つの方向性になると考えます。

代表取締役社長執行役員 藤原亨
代表取締役 社長執行役員 藤原 亨

一方で、新しい方向性を模索する中でも、変えてはいけない価値観があります。「真面目さ」であり、それが私の感じるクリナップらしさでもあります。特に、お客さまに対して真面目であること。この軸は、創業以来変わっていないと思います。

その「真面目さ」を強く感じたのは東日本大震災のときです。当社は福島県いわき市に主力工場を構えており、震災では大きな影響を受けました。供給再開の見通しが立たない中、受注済み案件を一度キャンセルし、お客さまに他社製品への切り替えをお願いするという判断をしました。
当時は非常に厳しい決断でしたが、「お客さまの生活を止めてはいけない」という考えを最優先したものでした。それでも、「クリナップを待ちたい」と言ってくださるお客さまが多くいらっしゃいました。有事のときにこそ、その企業の価値が表れるのだと感じています。

クリナップらしい真面目さを守り続けながらも、未来を見据えた感覚で、これからの価値提案につなげていきたいと考えています。

「掛け声」ではなく、「動ける組織」へ

現在、住宅業界は厳しい環境にあるといえます。国内新築市場の縮小に加え、資材価格高騰や中東情勢、関税影響など、不確実性はこれまで以上に高まっています。
そのなかで、リフォーム需要への対応や海外市場への展開は厳しい環境における活路として進めています。ただ、これからは単に「製品を売る」だけでは不十分だと感じています。つまり、製品そのものだけでなく、その前後にある体験まで含めての付加価値をより創造するべきです。

すでに、当社では整理収納アドバイザーとも連携し、新しいキッチンをより使いやすく活用していただくための取り組みも進めています。新しい収納機能があっても、以前と同じ感覚で物を収めてしまえば、本来の使いやすさを十分に実感いただけないケースもあるからです。
付加価値を創造するためには、部門ごとの縦割りだけで考えるのではなく、営業、開発、生産、サービス部門などが横断的につながり、情報を共有しながら動ける組織に変わっていく必要があります。
営業現場で得られたお客さまのお困りごとや使い方の声を、開発やサービス部門まで共有できれば、単なる製品改善だけでなく、収納提案やアフターサポートを含めた新しい価値提案につなげることができます。こうしたサービスの開発は商品開発と違い全社員が参画可能です。

同時に、そうした取り組みを一時的な活動で終わらせず、継続的にできなくてはなりません。そして、製品やサービスを変えるだけではなく、それを支える組織文化や仕組みづくりも変えていく必要があります。
例えば、DEI推進や女性管理職比率、有給取得率など、中期経営計画で掲げている非財務目標についても、掛け声だけでは前に進みません。どうすれば継続的に実行できるのか、組織としてどう仕組みを作っていくかが課題です。
サステナビリティ対応も、事業変革も、一部門だけで実現できるものではありません。部門を超えて知恵を出し合い、現場から動ける組織へ変わっていくことが、これからのクリナップには必要だと考えています。

サステナビリティ対応は「事業成長」の条件へ

近年、住宅業界を取り巻く環境は大きく変化しています。サステナビリティへの対応そのものが取引条件として求められるようになりました。
ハウスメーカー各社からの要請も、森林破壊ゼロを目的とした木材調達方針の策定、人権デューデリジェンスへの対応、GHG排出量削減など、サプライチェーン全体を対象としたもので、その要求水準が年々高まっています。実際に、こうした対応ができなければ、採用に至らないというケースも出てきています。

クリナップではこれまでも、生産工程における省エネルギー化など、自社努力でできる環境負荷低減に取り組んできました。また、素材の多様化や軽量化などを通じて、安定供給や資源活用の観点からも改善を進めてきました。
一方で、今後は自社だけで完結する取り組みでは不十分です。Scope3を含めたバリューチェーン全体での対応や、調達先さまを含めたサプライチェーンマネジメントが、より重要になっていくと考えています。

特に、営業現場ではハウスメーカー各社からの要請の変化を日々実感しており、対応のスピードに対する危機感が高まっています。
だからこそ、サステナビリティ対応を特定部門だけの活動にするのではなく、営業・開発・生産・調達など、全部門が横断的に連携しながら進めていく必要があります。
サステナビリティの推進は、これからの企業にとって取引先から選ばれ続けるための必須条件であると考えています。そして、単なる取引条件への対応だけでなく、サステナビリティに関する課題への挑戦そのものが新たな価値創造につながると考えています。

持続可能な水利用と、未来の暮らしへの提案

こうした考え方は、現在進めている「未来キッチンプロジェクト」にもつながっています。私たちが目指しているのは、単なるキッチン製品の開発ではなく、新しい体験としての付加価値を提案しつつ、これからの暮らしや社会課題を見据えた取り組みです。
プロジェクトの中核にあるのは、水循環技術です。少量の水をろ過しながら循環利用することで、上下水道に依存しない新しい設備のあり方を模索しています。

これまで未来キッチンプロジェクトの一環として、循環ろ過機能を備え自由に移動できるというコンセプトモデル、モビリティキッチンの開発を進めてきましたが、現在はキッチンだけでなく、洗面やシャワーなどにも技術展開を広げています。

イタリア・ミラノで開催されたフォーリサローネ*では、コンセプトモデル「mobilityFixtures」を出展しました。加えて、武蔵野美術大学や現地デザイン大学とも連携し、水循環技術を活用した未来の暮らしについてワークショップを実施しました。

この技術は、節水や資源循環といった環境面だけでなく、災害時の活用や非住宅分野への展開など、さまざまな可能性を持っています。
水インフラが十分ではない場所でも利用できる仕組みや、限られた水資源を有効活用する仕組みとして、新たな価値を生み出せるのではないかと考えています。
モビリティキッチンから発展した水まわりの新しい思想を2030年に向けて事業化し、貢献できる未来を目指しています。

キッチン専業メーカーとして、私たちは長年「食」や「暮らし」に向き合ってきました。単に設備をつくるだけではなく、「これからの暮らしにキッチンがどう関わっていくのか」を考え続ける必要があると思っています。
だからこそ、これからはキッチン単体ではなく、水や暮らし全体をどう豊かにしていけるかという視点で、新しい価値を提案していきたいと考えています。

* イタリア・ミラノで開催される世界最大級のデザインイベント「ミラノデザインウィーク」における市内展示場「フォーリサローネ」

部門を超えて支え合う会社へ

私はこれまで開発部門に長くいましたが、社長就任後は、生産、営業、管理部門など、さまざまな現場を見るようになりました。そのなかで感じるのは、部門間の壁や遠慮です。
自由に意見を出し合える組織にしたいと考えており、DEI推進として、今年度から「“さん”付け活動」もスタートしました。役職などではなく、“さん”付けでお互いを呼ぶものです。小さな取り組みに見えるかもしれませんが、役職や部門に関係なく対話しやすい環境をつくるためのものです。私は、現場同士の距離を縮め、日々のコミュニケーションの積み重ねが、新しい発想や価値創造につながっていくと考えています。

私は、社員一人ひとりが知恵を出し合い、挑戦を続けることで、キッチンという枠を超えた新しい価値が生まれると信じています。
私たちはこれからも、水や暮らし全体の未来を見据えながら、事業を通じて社会課題の解決に挑戦し、持続可能な社会と豊かな暮らしの実現に貢献するクリナップを目指していきます。


クリナップサステナブルビジョン2030(CSV30)に向けたロードマップ

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