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流レールシンクの開発 development
3min
流レールシンクの開発

さらなる機能と使いやすさを求め、試行錯誤が繰り広げられるキッチンメーカーの開発現場。ヒット商品『流レールシンク』が生まれた背景には、開発者の熱い思いと生活者の率直な声がありました。

目次

400枚の写真からキッチンの困りごとを探る​

2013年春、キッチンを進化させる新たな機能をゼロから創ると意気込む開発メンバーたちは、目の前に並んだ約400枚の写真を眺めながら頭を悩ませていました。これは「答えは日常にある」をモットーとするクリナップの伝統的な開発風景。キッチンの使用シーンを細かく記録して観察し、開発につながるヒントを探るのです。

観察対象となっていたのは、社員たちが自宅で撮ってきた、調理中や後片付け中の写真の数々。しかしヒントは容易に見つかるわけではありません。「シンクの中って、どこのご家庭でも料理中はゴミが散らかっていますね」「最後に流しちゃうし、気にならないんじゃない?」と意見を出し合いましたが、決定的なポイントが見つからず時間だけが過ぎていく。このときはまだ、そんな何気ない会話の中にヒット商品の「芽」が隠されているとは、誰も気づいていませんでした。

 

「シンクのゴミが不快」隠れた不満がヒントに​

その芽が顔を出したのは、しばらくして開かれた一般の方をお招きして行うモニター会議でのことでした。400枚の写真分析で少し話題になっていた「シンクに残ったゴミ」について話を向けたところ「言われてみれば不快」「確かになかなか流れず、イラっとする」「片付けるのが面倒……」といった意見が次々と出てきたのです。 

当たり前すぎて意識すらしていなかったことが、実は〝隠れた不満〞としてユーザーに負担を与えていた―。そのことに気づいたメンバーたちは、「シンクに流れる水の力を使って、ゴミを排水口まで流す」というコンセプトの新たなシンク開発に乗り出しました。

シンクの常識を変える未知の形状への挑戦​

 早速開発チームは、シンクの設計に着手。水栓からの水の力でゴミをスムーズに流すという、従来のシンクにはなかった機能を持たせるための試行錯誤が続きました。開発チームが考えたのは、シンク中央にあった排水口をキッチンの作業台側に寄せ、底面を手前に傾けて「水路」を設けるという型破りな形状です。その理論を現実の形にするのは難しく、モデルを作っては検証を行い、溝の幅や深さ、傾斜角度を細かく調整していきました。 

 

ゴミがたまるところを大胆に水路化

検討最初期の形状。水路を手前に設け、水栓から流れる水の勢いを利用してゴミを流す形状にデザインされた。

ゴミの流れを考慮し溝の幅を一定に

ゴミを流しきるため、溝の幅や深さ、コーナーの丸みなどを調整。排水カゴは三角形にして、容量を確保

そうして1年が経過し、ようやく最終試作品が完成。一般モニターに体感してもらう日がやってきました。それまで社内では「ゴミが手前に流れてくるのはお客様に受けいれられないだろう」など厳しい声もあがっていただけに、メンバーの心は期待半分、不安半分。しかし実際に使ったモニターから出てきたのは、「ゴミが流れるのが気持ちいい!」「スピーディーで楽しい」と好意的なコメントがほとんどでした。こうして春にスタートした『流レールシンク』企画は、その年の冬に正式にゴーサインが出され、量産化へ動き出したのです。

理想のデザインと量産化を叶えるために​

しかし、ここでまた一難。最終形状が決定したにも関わらず、今度は生産現場から「形状が複雑すぎて成型できない、量産は難しい」と跳ねのけられてしまったのです。お客様の不満がある限り、なんとしても解決したい開発チーム。一方で、妥協したものづくりは許されない生産現場。両者がプライドと意見をぶつけ合いながら、量産化へと製品を仕上げていきました。 

こうした苦労が2年間続いた末に、ようやく発売された『流レールシンク』。数々のアワードを受賞し、瞬く間にクリナップを代表するヒット商品となりました。日常の使用シーンを注意深く観察し、〝声なき声〞を見つけ出すこと。当たり前を疑い、謙虚にお客様の声に耳を傾けること。それが「今までにない商品をゼロから創る」ための唯一の道であると信じ、クリナップの次なる挑戦が始まります。

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