キッチンのリフォームを考え始めたら多くの人が悩む「ガス・IH問題」。使い慣れているガスコンロからIHに変えるのは勇気がいるかもしれませんね。今回は、キッチンをIHにした場合の使い勝手やリフォーム費用、電気代についてご紹介します。
目次
キッチン加熱調理機器、IHクッキングヒーターとは？
キッチンに組み込む加熱機器として広く普及しているIHクッキングヒーター。どのような仕組みで加熱するか知っていますか？
まずIHとはインダクションヒーティングのことで、日本語では「電磁誘導加熱」と言います。IHの天板の下には磁力を発生させるコイルが埋まっています。
そのコイルに電流が流れると磁力線が発生し、金属の鍋へ伝わるときうず電流になり、鍋の電気抵抗によって鍋底自体が発熱する仕組みです。
IHはトッププレートに接している鍋底全体が発熱するため熱効率に優れた加熱機器です。湯沸かしもガスより早く、効率的なキッチン作業を可能にします。
IHとガスコンロの違いとは？
キッチンのリフォーム工事で、加熱機器をIHにした場合とガスコンロにした場合では、お手入れ方法、火力、使用できる調理器具などが異なります。以下でIHのメリットとデメリットを分けながらお伝えします。
IHのメリット
キッチンにIHを組み込むメリットは3つあります。1つ目はお手入れが簡単という点です。フラットな天板は拭き掃除も簡単で、料理が終わったらキッチンカウンターと一緒にさっと拭けるので、つい汚れをため込んでしまうことがありません。
2つ目は火を使わないので安全性が高い点です。ガスコンロにも安全センサーが搭載されていますが、キッチンに立っているときに衣服に着火するリスクはゼロではありません。また、火を使わないIHは水蒸気も発生しないので、結露やカビが出にくいのもメリットです。
3つ目は夏でも熱くなりにくいことです。夏場のキッチンは火を使うと温度が高くなり冷房効率も落ちてしまいます。IHならふく射熱が少ないので温度上昇を抑えて快適に調理ができます。
IHのデメリット
キッチンにIHを搭載するデメリットは3点あります。
1つはメリットで挙げたことと同じですが火が出ない点です。火を使わないことで調理方法が限られてきます。例えば鍋振りをして鍋底をIHから離すと、安全装置が働いて消火してしまいます。また、直火であぶる調理はできないこともデメリットです。
2つ目は使用する調理器具が限られることです。 土鍋やアルミ鍋などガス専用のものはIHで使用できません。IH対応の素材は鉄、ホーロー、一部のステンレスです。
IHの種類によってはオールメタル対応のタイプもあります。オールメタルとは、通常のIHより幅広い金属鍋に対応するタイプのIHヒーターです。
3つ目は停電時にキッチンで調理ができない点です。ちなみに市販のカップ麺は水でも作れます。もちろん3分調理は難しいですが、15分程度時間をおけば柔らかくなり食べられるとされています。
キッチンでIHを使うときに気を付けるべきこと
キッチンIHのメリット・デメリットのところで、IHは火が出ないから安全とお伝えしました。しかしそれゆえに、注意しなければいけない点があります。それは使用後のやけどです。キッチンで調理を終えてIHの電源をOFFにしても、しばらくは表面が熱くなっています。
IHの使用後、すぐにキッチンから離れる場合は注意しましょう。子どもだけでなく大人も熱くなっていることがわからず触ってしまう危険があります。しかし対策としてIHの表面温度が高いときは、注意喚起のため天板が光るようになっています。
キッチンにセットするIHの選び方
キッチンのリフォームでIHを選ぶときは、次の3つの視点から比べてみましょう。3つの視点とは①個別消費電力、②サポート機能、③グリルです。
①個別消費電力で選ぶ
キッチンのIHには3口タイプや2口タイプがありますが、一般的には3口タイプがよく選ばれます。3口のヒーターにはそれぞれに消費電力が設定されており、機種によって最大出力が異なります。
3口のうち、手前の2つの最大出力は2.6W、3.0W、3.2Wなどに設定されています。どれも「強火」には変わりませんが、もっとも早く湯を沸かせるのは3.2Wのタイプです。よく作るのが大量の湯を沸かすパスタなら、3.2Wのヒーターがあると時間短縮になります。
奥の1口には2Wのタイプや1.5Wのタイプがあります。1.5Wでも「強火」ですが、2Wあれば肉の表面にさっと焼き色をつけたり、高温が必要な揚げ物にも対応できてしまいます。手前2つを使いながら、奥のヒーターでも高温調理をする人には2Wのタイプが便利ですね。
IHの機種には、奥の１口が「ラジエントヒーター」になっているタイプもあります。ラジエントヒーターとはIHが普及する前からある電気コンロです。
ラジエントヒーターはあぶり調理ができることや、冷めにくい性質から保温にも活躍します。ラジエントヒーターに乗せる調理器具はIH用でなくても良いので、土鍋を使ってコトコトお粥を炊くこともできてしまいます。
3口を同時に使う場合、どのような内容の調理をするかによって加熱機器に求める火力は変わってきます。ワット数の違いに着目して、普段の料理と相性の良いIHを選んでみるのも良さそうですね。
電力を消費するIHですが、熱効率のよさから短時間で調理ができることでデメリットを払拭しています。電気代を抑えるにはIHを使う時間帯を見直す方法もあります。現在オール電化にしているご家庭なら、夜間の電気代が安いプランに入っていることもあります。
電力会社や料金プランによって異なりますが、IHによる電気代を節約したい場合は、電気代が安い時間帯にまとめて調理をしてしまうとよいでしょう。
②サポート機能で選ぶ
キッチンのIHクッキングヒーターにはとても便利なサポート機能がもりだくさんです。忙しいときにはキッチンにいる時間を1分でも節約したいものですよね。そんな時におすすめの機能を3点ご紹介します。
調理サポート機能
キッチンのIHで便利な機能の1つに調理サポートがあります。この機能は、メニューを選ぶだけで温度や時間を自動で設定してくれるものです。余熱が完了して食材を投入するタイミングを音声で教えてくれたり、ひっくり返すタイミングもサポートしてくれます。
さすがに下ごしらえは自分でしなければいけませんが、火加減の部分はおまかせできるので簡単に調理ができます。キッチンでの作業時間を減らせるのはうれしいことですね。
温度自動調節
キッチンIHの機能では、自動調整機能も見逃せません。光火力センサーが付いているタイプなら、鍋底の温度を正確にキャッチします。天ぷらなどの揚げ物は、温度変化を抑えることがおいしく仕上げるコツです。
そのようなとき、設定した温度に保ってくれる温度自動調整機能が付いているIHは大いに活躍します。
レンジフード連動機能
キッチンのIHにはレンジフードが連動するタイプのものがあります。従来はIHやガスコンロなどを点火したら、手動で換気扇のスイッチも入れていましたよね。また、料理を終えてしばらくしたらキッチンに戻り、手動でスイッチを切っていました。
連動機能がついたIHなら、点火すると自動に換気もスタート。これなら換気扇をつけ忘れる危険性もなくなりますね。 キッチンに熱やにおいがこもるのを防いでくれます。
③グリルで選ぶ
キッチンの過熱機器をIHに交換するなら、グリルにも注目してみましょう。グリルの用途はとても広く、焼き魚以外にもさまざまな調理が可能です。
Wフラットクッキングリル
グリルで多彩な調理をするならパナソニック製の「Wフラットクッキングリル」が役立ちます。このグリルは上下にヒーターがあり、大火力で手早くおいしく焼き上げます。上ヒーターのみで加熱できるので、仕上げに少し焦げ目を付けたいときにも便利ですね。
グリルの中は有効高さが約10cmあり、鍋をまるごと入れることも可能です。例えばパエリアを作るときは、キッチンのIHヒーターで炒めた鍋をそのままグリルに入れて、おまかせ調理で完成です。
庫内が上面・底面ともフラットでお手入れがしやすいのもおすすめポイントです。
付属のプレートで簡単調理
Wラクッキングリルにはグリル皿が付属しています。グリル皿は波型になっていて、焼き網のような面倒さはなくしつつ余分な油を落としてグリルができるように工夫されています。
また、別売品のあっせんプレートを使えばオーブンのようにクッキーを焼くこともできます。ほかにもケーキを焼いたり、燻製を作ったり、楽しみが広がります。
グリルなしという選択肢も
キッチンのIHにグリルは不要ということなら、グリルをなくして収納にする方法もあります。すでにキッチンのグリルは、菜箸やフライ返しの収納として使用中という人もいるのではないでしょうか。
それならば、キッチンリフォームのタイミングで最初からグリルが無いタイプに交換するのがよさそうですね。
キッチンリフォームでIHを交換。工事費用は？
キッチンのリフォーム工事でIHを交換する費用は、商品代、交換工事費、電気配線工事費、廃棄処分費などです。その他、遠隔地ならば出張費がかかる場合もあるでしょう。
また、どのような状況でもキッチンにIHを設置できるわけではありません。IHの電圧は200Vなので、設置するためには単層3線式配線で給電されている必要があります。現在はほとんどの物件が単層3線式が使用されていますが念のため覚えておきましょう。
下記リンク先のクリナップリフレッシュサービスを参考に工事費用を確認すると、キッチンのIHを交換するには約23万円～約53万円ほどになります。廃棄費用は含まれていません。種類によって必要な費用は大きく変わります
ガスとIHのいいとこどり「デュアルシェフ」で便利なキッチンに！
キッチンのIHについて便利な機能をお伝えしてきましたが、やっぱりガスも捨て難い……という声も聞こえてきそうです。そこでおすすめなのが、キッチンメーカーのクリナップが独自にラインナップしている「デュアルシェフ」。1台でIHとガスが使える加熱調理機器です。
キッチンにデュアルシェフがあれば、弱火で時間をかける調理や保温するものはIHを使って、高火力で火を通す料理はガスコンロで行う、そんな使い方が実現できます。
また、ガスコンロと2か所のIHの並びにも特徴があります。ガスでもIHでも、熱源が3口の場合は三角形のレイアウトをしていますよね。奥の部分に鍋を置いておくと手前に置いたフライパンが当たってしまうことがあります。
デュアルシェフの場合は熱源のレイアウトが2列です。ガスコンロの方でフライパンを振っても他の調理器具にぶつかりにくくなっています。さらに、フライパンを置いたときにキッチンカウンターの手前から柄が飛び出さないよう、コンロが奥まった位置に付いています。
このレイアウトによって調理の幅はさらに広がります。2つのIHはタテ1列に並ぶレイアウト。デュアルシェフに付属する「シェフズプレート」は２つの熱源にまたがって使用できる専用調理器具です。シェフズプレートがあればIHの上でグリル調理もできてしまいます。
「グリル無しのIHはかっこいいけど、グリル料理も捨てがたい」。そんな悩みに答えるのがいいとこどりの「デュアルシェフ」です。
あなたの料理を便利にするIHを検討してみよう
キッチンのIHクッキングヒーターはお手入れが簡単で、安全に使用できる加熱機器です。IHを選ぶときは、個別消費電力、調理サポート機能、グリルの性能の3つの視点から選んでみてください。好みに合うIHにリフォームをして、便利で快適なキッチン空間にしましょう。
※本記事は、2022年3月現在の情報を元に執筆しております。最新の情報は、公式ホームページやカタログをご確認ください。
