キッチンと暮らしのまん中で輝く人
教室ストーリー
料理が好き。その気持ちを重ねて20年以上
「教えること」の原点になった、料理教室での日々

大学の食物科で料理や食について学んだ太刀川先生。卒業後は、地元・名古屋市が運営する料理教室でアシスタントを務めました。
そこにはさまざまな講師がいて、学べる料理も和・洋・中からお菓子まで実に多彩。同じ料理でも先生によって個性があり、教え方もそれぞれ違います。
「当時は『見て覚えなさい』という時代。細かなことまで一つひとつ教えてもらえるわけではなく、自分から見て、聞いて、覚えていく毎日でした。1回のレッスンに参加する生徒さんは30人ほど。その材料を一人で1時間ほどで準備するなど、仕事量も多く忙しい日々でしたが、振り返るとやりがいにあふれた時間でした」

仕事で学んだ料理を、夜9時に帰宅してから、もう一度自分で作ってみることもよくあったそう。それほど、料理を作ること、そして学ぶことに全力で向き合った日々でした。
レッスン中は、料理の経験も理解のスピードも一人ひとり違う生徒さんに、どう伝えればわかりやすいのかを考えながらサポート。さまざまな先生と生徒さんに接する中で経験を重ね、やがて自身も講師を務めるようになりました。
その後、勤務先からの依頼で老人ホームの厨房へ。介護食づくりに携わり、大量調理の現場も経験します。
「大変でしたが、とても価値のある経験でした」
料理教室とは違う現場での経験も重ねた太刀川先生。その後、結婚を機に川崎へ移り、子育てが少し落ち着いた頃、ママ友から「料理を教えてほしい」と声をかけられたことが、「happy GOHAN」の始まりでした。
最初は材料費だけをいただいて始めた、小さな料理教室。口コミで少しずつ広がり、お子さんたちが成長して家を離れてからは、より本格的にレッスンを開催。SNSを見て参加する方も増え、今では20代から80代まで、幅広い世代が通います。
中には、教室を始めた頃から今も通い続けている生徒さんもいらっしゃいます。
料理が好きだから、今も新しい一皿を


お店では20品目ほどの食材を取り入れた健康的なメニューを提案.。テイクアウトも
「happy GOHAN」のメニューは月替わり。20年以上、毎月新しい料理を考え続けるのは大変ではないのでしょうか。
太刀川先生に尋ねると、日々の暮らしの中にもメニューづくりのヒントがたくさんあるといいます。
テレビドラマに登場する料理を見て研究したり、話題のお惣菜を買って最近の味やトレンドを知ったり。最近ではAIも取り入れながら、新しいアイデアを探しています。
長年さまざまな料理を作ってきたことで、食材を見れば、組み合わせた時にどんな味になるのかもある程度想像できるそう。
アシスタント時代から繰り返し料理を作り、さまざまなジャンルや調理の現場に触れてきた経験が、今のメニューづくりの幅広さにもつながっています。
通常のレッスンに加え、生徒さんから希望があればリクエストレッスンも開催。どんな料理を作りたいか相談しながら、一緒にメニューを決めていきます。


「木月キッチン MIYUBI」で木・金・土曜日にランチを提供
そして最近、太刀川先生の料理を届ける場所がもうひとつ増えました。
ご縁をきっかけに、川崎市・元住吉のシェアキッチン&コミュニティスペース「木月キッチン MIYUBI」で、木・金・土曜日の週3日、ランチを作って提供しています。
1食に20品目ほどの食材を取り入れ、旬の野菜をたっぷりと使ったバランスのよい食事を心がけています。
料理教室で「作り方を伝える」ことに加え、今度は自分の料理をお客様に直接「食べてもらう」ことへ。活動の場は少しずつ広がっています。
これから挑戦してみたいことを尋ねると、太刀川先生から返ってきたのは、とても自然体な答えでした。
「教室とお店も含め、今の活動が心地よいので、このまま続けていきたいです。そして、もっといろいろな方に知っていただけたら」
好きな料理を作り、教え、食べてもらう。
子どもの頃からの変わらない「料理が好き」という気持ちが、これまでも、これからも太刀川先生の活動の源です。
料理を囲む人たちとの時間を大切にしながら、太刀川先生の歩みはこれからも続いていきます。
インタビュー・文:窪田みゆき
写真:原田圭介








