キッチンがLDKとして広がりをみせるようになったのと同様に、住空間全体でもより心地よさを高めるためボーダーレス化が進む時代です。従来閉ざされた空間であった浴室は、どうでしょうか。やはりそこにも、もっとリビングでくつろぐような感覚で過ごせる空間を望むニーズは潜んでいるはずです。そこで2024年2月、クリナップではシステムバスルームのブランドを一新。【リビングバスルーム】というコンセプトを掲げ、モノとしてのバスルームの枠を超え、お客さま個々の暮らしに深く寄り添った提案を盛り込みました。今回はフラッグシップとして発売された「SELEVIA（セレヴィア）」で早くも注目を集めている「デュアルフィット浴槽」について、開発の背景やポイントをお伝えしていきます。
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リビングでくつろぐのと同じ感覚で過ごせる浴槽
浴槽は長い時間浸かってリラックスしたり、思い思いの姿勢でくつろぐ場所ですので、心地よく過ごせるデザインであることは、とても大切な要素です。そこで「デュアルフィット浴槽」は、快適に入浴できるという機能性はもちろんきっちりと担保しつつ、浴室内で調和を保つ美しいデザインを目指しました。
リビングでくつろぐのと同じ感覚で過ごせる浴槽。一見、大変シンプルな浴槽に思われると思いますが、長くお使いいただくうちにディテールへのこだわり、ところどころに「洗練」をお感じいただけることと思います。機能的な面でも、特に背中の当たる背面部分を中心に人間工学に基づいた形状が追究されており、デュアルフィット浴槽に身を沈めたとき、きっと、その快適さを実感されるはずです。
ヨーロッパの高級浴槽から着想を得たヘッドレスト
2ポジションで使用できるヘッドレストが、この浴槽の最大のトピックです。ヘッドレストはヘッドレストバーに固定されていて、肩まで浸かって温まりたいときは寝かせて、肩を出してリラックスしたいときは立てて、ヘッドレストをくるっと回すだけの簡単な操作で入浴姿勢を変更して楽しむことができます。
バーに固定するヘッドレストというのはヨーロッパの高級浴槽でいくつか見られますが、回転させて2ポジションで使えるものはありませんでした。この「回転させる」というアイデアは比較的すぐに思いつきました。しかし、そこからが困難の連続。寝かせたときには浴槽と、立てたときには壁と接するその角度の割り出し。どちらのポジションでも快適に頭をあずけられるにはどんな形状であるべきか。何度も試作を重ね、ようやくたどり着いた快適に入浴を楽しめる形となっています。
また、浴槽ではなく壁に固定されたバーにヘッドレストがセットされているのも大きなポイントです。こうすることで、よくあるバスピローのように常時浴槽に接していないので汚れが溜まりにくく、立てた状態なら下の浴槽のフチも掃除しやすくなります。ヘッドレストバーが浴槽ではなく壁に固定されているため脚の部分に汚れが溜まることも避けられます。ヘッドレストの形状・大きさ、設置する高さなどを決めていく段階ではさまざまな体型の人に試してもらい、最適解に限りなく近づいたと思っています。
肘をあずけられるハンドグリップは、体をほぐすのにも
浴槽の両サイドにはハンドグリップが低い位置に設置されています。浴室内での立ち座りで体を支えることはもちろん、肘をあずけてリラックスできるように配慮されています。人によっては入浴中にストレッチ……ということもあると想定して、このハンドグリップとヘッドレストバーを利用して、体をほぐすひねり運動にもお役立ていただけるようにしています。
従来の背中からだけでなく、両脇からも水流が出て、“ぐる”っとおなか全体を“もみ”ほぐす。今回、この新たなジェットエアーバス「ぐるもみジェット」をデュアルフィット浴槽にプラス提案しています。これは、ハンドグリップを利用したひねり運動との相乗効果を狙ってのものでもあります。
「ぐるもみジェット」の両脇からの水流を思いついたのは、温浴施設を開発担当者が訪れたときのある発見からでした。水流が出てくる浴槽で、普通に座ったら背中や腰だけに当たるジェット水流を、自ら体を回して脇腹など自分の当てたい場所に当てている人が少なからず居たのです。ハンドグリップとヘッドレストバーを使ったひねり運動は、「ぐるもみジェット」と合わせることで、楽に自分の当てたい場所にジェット水流を当て、全身をほぐすことができます。
20年後の未来も見据えて。リビングバスルーム
浴室はもはや、体をきれいにするためだけの場所ではありません。たとえば洗面空間も利用してヨガスタジオのように楽しんだり、湯に浸かりながら読書や映画を鑑賞したり、アウトドアを楽しんだあとに最初に入る基地のような部屋としたり。そのように楽しい暮らしを送っていただきながら、入浴のリラックス効果も含めて20年先まで健康に過ごしていただきたい。今、私たちはそんな気持ちを込めてアイテムを開発しています。
見た目も含めた快適さをとことん追究したクリナップのバスルームなら、リビングでくつろぐ感覚で、ご家族みんなに楽しい入浴体験を味わっていただけるはず。そして、やがてお歳を召されたときには、浴槽を含めてバスルーム全体に施された安心機能が存在感を増してくるでしょう。高い保温性、すべりにくい浴室フロア、体を支えるバーやグリップ。20年後も快適に楽しく過ごせる空間を目指して、私たちは【リビングバスルーム】を提案していきます。
