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【建築士監修】猫と人が快適に過ごすキッチン設計。 ideas
6min
【建築士監修】猫と人が快適に過ごすキッチン設計。

猫を飼っているご家庭では、キッチンまわりに工夫や配慮が必要です。安全性や衛生面はもちろん、猫が快適に過ごせる空間づくりは、毎日の暮らしをより豊かにしてくれます。今回は、ペット共生住宅を多く手掛ける一級建築士・前田敦さんに、猫を危険から守るための「キッチン侵入防止・安全対策」について伺いました。

目次

猫と暮らす家で「キッチン」が重要な理由

前田 敦 さん

前田 敦 さん

建築家・一級建築士
前田敦計画工房合同会社 代表。
自身もペットラバーであり、「愛犬・愛猫と快適に暮らす」をテーマに、飼い主様の多様な住まい方に対応したペット共生型住宅の設計監理を数多く手掛ける。その分野での講演、執筆、監修などの活動も多数行っている。

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猫と暮らす家では、キッチンが「安全」と「快適さ」の要になります。高温のコンロや誤飲しやすい小物など、猫にとって危険が潜む場所だからこそ、猫の行動を想定したレイアウトや収納、安全に配慮した動線、掃除のしやすさなど、安全性や清潔さに配慮しながら、お互いが安心して過ごせる設計が大切です。

キッチンを整えると飼い主と猫、お互いに良い影響が

家事と猫ケアの両立のしやすさ

キッチンのそばに猫用の水飲み場や餌スペースを設けるなど、動線を意識した配置にすれば、家事の流れの中で自然にお世話ができます。家事と猫ケアを無理なく両立できることは、大きな安心につながります。

ストレスの少ない暮らし

LDKでは滑りにくい床や、やわらかな照明が効果的。安心して過ごせる環境が、猫の心の安定にもつながります。

清掃性や健康の維持

掃除しやすい素材や設備を選んでおくと日々の手入れがラクになるだけでなく、猫の体を清潔に保ちやすく、皮膚病などの予防にもつながります。

基本は「入らせない」「上がらせない」

猫と暮らす家では、キッチンに“入らせない・上がらせない設計”にすることが理想です。調理中の熱や刃物など、思わぬ事故を防ぐためにも、安全な区切りや仕切りをつくることが大切です。

基本的に猫の安全性を考えて、リビング・ダイニングから完全に独立しているクローズドキッチン(独立型キッチン)を提案しているのですが、最近はペニンシュラ型やアイランド型などのオープンキッチン(対面キッチン)が主流ですよね。そこで、オープンキッチンでも猫と飼い主どちらもストレスを感じないようにするための安全対策アイデアをご紹介します。

オープンキッチンにする場合の注意点

オープンキッチンでは、猫が自由に動き回れる分、安全面の工夫が欠かせません。

コンロまわり

調理中に猫が近づくと毛が燃える危険があるため、火の出ないIHクッキングヒーターがおすすめです。ガスコンロを選ぶ場合も、調理機器を置いていない状態を検知して自動で火が消えるものや、万が一火を消し忘れても時間経過により火が消える自動消火機能付きのものを選ぶと良いでしょう。しかし、これらの加熱機器でも使用後に猫が触れると肉球が火傷することがあるため、調理後には断熱性能のあるコンロカバーも活用しましょう。

また、加熱機器を壁側に寄せたペニンシュラキッチンにし、ウォールタイプ(ハイタイプ)のガラスパネルを設置することで、コンロへの突然の飛び乗りをある程度防ぐことができます。ただし、調理中にシンクや調理スペース側でいたずらされたり、回り込まれてしまう可能性もありますので、猫がキッチンに上がらないように躾をすることも大切です。

包丁などの調理器具

猫がワークトップやシンクに飛び乗った際に触れる恐れがあるため、使用後はすぐ片付けてください。開き扉など、猫が扉を開けてしまう場合にはドアロックやロック付きの包丁差しを活用することがポイントです。

食品・生活用品

これはみなさんご承知だと思いますが、玉ねぎやチョコレート、洗剤などキッチンには猫が口に入れてしまうと危ないものが多くあります。オープンキッチンの場合は、調理後の生ごみや食品、生活用品を放置しないようにしましょう。

猫による誤飲やいたずらを防ぐための工夫

私も猫を飼っていますが、猫は身体能力が高く好奇心が強いので、動きを制限することは非常に難しいと感じています。そのため、キッチンやカップボードまわりでの猫の誤飲やいたずらを防ぐには、あらかじめ扉の形状やロック機能、収納の位置を工夫することがポイントです。

扉の形状

開き扉より引出し式のほうが、猫が前足や鼻で開けにくく安全です。引出しでも、前足が入る隙間があると猫が器用に開けてしまうこともあるので、しっかり閉めるように心掛けましょう。
収納BOXを使用する場合は、上から開けるタイプの上開き収納が猫にとって扱いづらいため安全性が高いです。

ロック機能

市販のチャイルドロックや強めのマグネットキャッチを取り入れると、簡単には開けられなくなります。カップボードやダイニング側収納のプッシュオープン扉は、見た目はすっきりしますが、猫が開けやすい形状なので避けましょう。

収納の位置

食品や薬品、洗剤など誤飲の危険があるものは一番上の引出しや、吊戸棚など高い位置に置き、足元収納段には鍋や食器など猫が触れても問題ないものを収納すると安心です。
また、キッチンの引出し収納の一角に猫専用のコーナーを設けると便利です。餌入れや水入れも床に置きっぱなしにせず、使うときだけ出すように習慣づけると、お部屋の清掃性も保てます。フードのストックやおやつも一緒に収納すれば、効率的に餌の準備ができますね。キッチンのキャビネットがステンレス製だと湿気に強くニオイ移りが少ないため、フードの保管場所にも最適です。

視認性

猫は好奇心旺盛な生き物です。カップボードはガラスやシースルーの扉よりも、中身が見えない面材扉タイプを選ぶことで、猫の興味を惹きにくく、いたずらを減らすことができます。

独立型キッチンでも開放感は出せる!

先述したように、猫の安全を最優先で考えるのであればクローズドな独立型のキッチンがおすすめです。しかし、独立型のキッチンと聞くと、昔ながらの「壁に囲まれた暗くて孤立感のあるキッチン」が思い浮かびませんか? 独立型のキッチンでも、設計や工夫次第で視界がオープンな開放感のある仕様にすることが可能です。

ダイニング側をガラス張りにする

猫を飼っているご家庭にご提案するのが、壁ですべて囲むのではなく、隣接するダイニング側の壁をガラス張りにすることです。キッチン空間に抜けが出て閉塞感が軽減できます。ダイニングからの光も入るので、暗さも軽減できますし、ガラスを通して家族や猫の様子も見れるのでおすすめです。

仕切りを活用する

リビング・ダイニングにつながる部分をドアで塞がず、パーテーションやペットゲートなどを活用するのもいいですね。猫は身体能力が高いので、仕切りの高さは最低でも180㎝程度あると安心です。
リビング・ダイニングと隣り合うようにキッチンをレイアウトすることで、リビングとの繋がりを感じることができ、ダイニングに通じる動線の良さも◎。キッチンへの入口を一カ所に絞ることで、猫の侵入対策もしやすくなります。

また、レンジフード前を壁で塞いだ腰壁付きのペニンシュラキッチンの場合、市販の柵を作業スペースやシンク前に設置するという方法もあります。寂しがりやの猫にとっても飼い主の様子が見えて安心です。キッチンへの入り口を塞ぐペットゲートと合わせて検討してみてください。

パントリーをフル活用する

少し趣旨はズレますが、もしキッチン全体を隔離できない場合は、危険なモノやいたずらされてしまいそうなモノはすべてパントリーに収納し、「パントリー隔離」するという方法も。
私が設計する共生住宅では、パントリーの入り口は折れ戸のドアを採用しています。引き戸やレバーハンドルのドアでは猫が開けてしまうことがあるので、折れ戸のドアにすることで猫が開けられない安心設計のパントリーになります。
万が一猫が入り込んだときのことを考え、収納する際もしっかり閉まる上開きの収納ボックスを活用することをおすすめします。

まとめ

最初にもお伝えしたように、キッチンに“入らせない・上がらせない設計”にすることが理想です。そのうえで、身体能力が非常に高い猫と飼い主がどちらも快適に暮らせるキッチンにするには、さまざまな工夫が必要になります。衛生的な暮らしが保てること、ケアの負担が減ること、安心して共に暮らせること。この3つが揃ってはじめて長く快適な共生生活が実現すると考えています。キッチンを「人が作業する場所」と考えるのではなく、「人とペットが一緒に暮らすための共有スペース」と意識し、お伝えした安全対策アイデアに加えて、それぞれの暮らしに合った工夫を+αで足していくと良いでしょう。

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