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フロアコンテナの開発 development
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フロアコンテナの開発

1999年6月。システムキッチンの世界に「革命」と呼んでも過言ではない出来事がありました。足元収納【フロアコンテナ】の登場です。登場から20年以上が経ち、多くのメーカーが採用している足元収納ですが、今なお【フロアコンテナ】のアドバンテージは健在。今回はそんなフロアコンテナの開発を振り返ります。

目次

LDK時代が生んだ新しいキッチンスタイル

フロアコンテナが登場した当時、キッチンは、キャビネットの下に台輪(けこみ)のある開き扉が主流でした。しかしながら、今やクリナップのSTEDIAやCENTROをはじめ、主なシステムキッチンには台輪など存在しませんし、開き扉を見かけることも大変少なくなりました。なぜ、その昔のキッチンには台輪があり、しかも開き扉だったのでしょうか。

 その理由のひとつには、キッチンが置かれていた「環境」があります。今でこそキッチンは、リビングダイニングに直結したLDKスタイルが当たり前のようになりましたが、長い間キッチンは住居内の北側の、暗く、ジメジメしがちな場所につくられていました。そのため、床付近からの湿気をキャビネットから遠ざけるため、台輪を置いて底上げする必要があったのです。

キッチンの置かれる場所がLDKへと移動したことで、この台輪が無用の長物となったことも、台輪スペースを有効活用したフロアコンテナ誕生の、ひとつの時代的流れだったのです。

オーストリア・ブルム社の最上位レールを搭載

台輪が不要だからといって、簡単に「開き扉」から「引き出し」に転換できるわけではありません。すべての扉がスライド引き出しになったのは、1998年に発売されたクリナップのS.S.が最初ですが、そこには、引き出しの開閉をスムーズに行える引き出しレールの存在が不可欠でした。事務机などではレール式の引き出しは当たり前でしたが、家具のひとつと捉えられていたキッチンでは、そのようなものはありませんでしたし、事務机のようなレールでは、重たいモノ、倒れやすいモノを入れるキッチン引き出しには不向きだったからです。

 そこで、S.S.開発に先立ってオーストリア・ブルム社の最上位レールを採用することで、この問題を一挙に解決しました。開けるときは力が要らず、閉めるときもスムーズに閉まるこのレールは、キッチンのオールスライド化を大きく前進させ、さらに「フロアコンテナ」というアイデアを強力に後押ししたのです。

デッドスペースが新たな有効スペースに

クリナップが開き扉から引き出しへの転換を推進したのには、使い勝手に関するいくつかの理由があります。

まず、モノの出し入れでかがみ込んだりするなど身体に負担がかかること。奥に入れたモノを取り出すときに前のモノをどけなければならず非効率なこと。そして、もうひとつ大きな問題が、高さのあるがらんとした空間のため、相当うまく使わないと上の方が空いてしまう、つまりその部分がデッドスペースになってしまうことでした。

 「台輪」ももちろんデッドスペースでしたが、それだけでは収納としての高さが足りません。であれば、キャビネット内の高さもデッドスペースとなっているのだから、これを合わせてしまおう、という発想となったのです。

計算し尽くされた高さ寸法がキッチン全体に好影響

フロアコンテナは、デットスペースを利用した、新たな収納スペース。しかも足元ということで「重たいモノ」「使用頻度の低いモノ」を入れる場所として使いたい。それは、どんなモノか。

もともと計画段階から、たとえば「ホットプレート」や「買い置きのビール」といったキッチンキャビネットには入れられなかったモノを入れられる場所を…という目的を持っていましたが、さらに、さまざまなご家庭のリサーチにより、どのくらいの高さがあれば、有益な収納となるかを検証した結果、導き出された高さが【21センチ】

ビールのロング缶が箱ごと入り、土鍋やホットプレートなど週末に家族が集まったときに使うような道具類もほぼ入る。以前は、そのようなモノは冷蔵庫の上や脇などに置かれるお宅も多かったのではないでしょうか。フロアコンテナは、キッチン空間をスッキリさせる効果も生み出しました。

 また、フロアコンテナの導入により、使用頻度の低いモノをまとめておける場所ができたことで、その上の引き出しは日常の料理で頻繁に使うモノを入れておくスペースとして便利さが増しました。さらに、引き出しの底位置が高くなったことで、出し入れの動作も楽になるなど、ほかにもさまざまなメリットをもたらしています。

最新のフロアコンテナは意匠と清掃性を両立

 「人の暮らし、収納の内容、量、大きさを踏まえて計算されたフロアコンテナのモジュールが生み出す“使いやすさ”は、今もなお大きなアドバンテージを保持しています。ですから、初代からのコンセプトを継承しながら、最先端のキッチンに合わせてディテールをつくりこんでいます」

  • 初代フロアコンテナ

    初代フロアコンテナ

    1999年6月発売
    「クリンレディ」より採用
    下部はつま先が入る部分にも配慮したデザイン。当時はまだ台輪のイメージが残っていて、重厚なイメージでした。

  • 2代目フロアコンテナ

    2代目フロアコンテナ

    2007年9月発売
    「クリンレディ」より採用
    「家族でわいわい料理を楽しむ」をコンセプトとしてリニューアルされたクリンレディに合わせて、フロントパネルをラウンド形状にすることで、印象をより柔らかくしました。

  • 3代目フロアコンテナ

    3代目フロアコンテナ

    2011年6月発売
    「クリンレディ」より採用
    「いつも清潔、ずっとキレイ」。ステンレス エコキャビネットに生まれ変わったクリンレディに合わせて、形状は2代目のデザインを踏襲しつつ、よりシンプルに、クリーンなイメージを追究しました。

  • 4代目フロアコンテナ

    4代目フロアコンテナ

    2018年2月発売

    「CENTRO」より採用

    キッチンの意匠性をより高めるため面材化を行ったが、最下部は金属を継続採用。掃除機をぶつけても扉面材が傷つかず、きれいな状態を保ちます

特徴的なのが、フロントパネル下の金属部分。従来はフロアコンテナ全面を金属で仕上げていましたが、今回は扉とのマテリアルミックスとなっています。
 「フロアコンテナの最下部だけ金属を残しているのは、清掃性を考慮してです。掃除機でぶつけても、水をこぼしても、傷がつきにくく拭き取りやすい頑丈な構造にしています」

 

少しでも長く、快適にお使いいただきたい。そんな気持ちが込められたクリナップのキッチン。フロアコンテナに代表される収納性の高さは、世代を超えてキッチンに笑顔をつくり出します。

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